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原状回復義務は今後緩和されていく?

今回は原状回復義務の緩和について少し書いてみようと思います。

原状回復義務とは入居者の退去時にお部屋を借りた時の状態に原状復帰する事を言います。

この原状回復義務には自然損耗などは含まれず、入居者の故意・過失や善管注意義務違反により

起こった損耗を回復するにとどまります。

しかし実際にはこの原状回復義務を求めて様々なトラブルが起こりえます。

壁のクロスやカーペット、畳、フローリング、水回り、設備の原状回復などがありますが、貸主はもちろん

敷金はできるだけ返金したくないというのが本音の所もありますし、一方で借主としては敷金は全額

返金して欲しいというのが本音かと思います。

例えばクロス1つを取っても国交省ガイドラインでは基本的に㎡単位での交換が望ましいとしているにも

関わらず、部屋全体のクロスを張り替えるという場合もあります。また例えば㎡単価が800円だったとし

ても業者に多少高く見積もりを取ってもらい㎡単価1000円くらいで借主さんに請求書を出す不動産会社

もあります。もっともこのような状況下には大家さんができるだけ借主さんへの返金額を減らしたいという

事情もあるのですが一方でその物件を管理している管理会社の利益が含まれている場合があるという事情

もあります。物件の管理に専念している不動産会社であれば管理自体の手数料収入自体ではたいした金額

にもならないので(管理物件数にもよりますが)、当然他の収益を求めていく事になり、上記のような

クロスの張り替えの差益などで利益を確保する事もあります。また過去の裁判所判例においても契約時の

契約書内容によって本来入居者が負担するはずのない自然損耗さえも入居者負担としている判例も幾つか

あります。

このようなトラブルが起こりやすい原状回復義務ですが、最近ではこの義務を緩和していこうという

流れも出てきました。みなさんの中にもその部屋を退去する際に「引っ越し荷物が多くて面倒くさい」

「原状回復の費用が高すぎる」「この部屋の荷物の一部を大家さんの方で引き取ってもらえたら。。」

「壁紙を好きな色にしたいけど退去時の原状回復が心配。。」なんて気持ちを持った事がある人もいる

のではないでしょうか。需要があればそれに答えるサービスが生まれてくるのは自然な事であり実際に

原状回復義務の緩和に動き出している会社も出てきています。今回は原状回復義務とその緩和の動き

について少し挙げてみます。

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URの原状回復義務緩和

最近の入居者の希望の1つにある部屋を自由にカスタムしたいという希望を叶えるべく、UR都市機構

が「DIY住宅」を商品化しています。このことはよく広告にもなっていますが例えば「壁を落ち着いた色

の壁紙に変更したい」「作り付けの家具を設置したい」「子供部屋に使うのでキャラクターの壁紙に変更

したい」などの要望に応えるべく商品化されたものです。例えば棚を付けたり壁紙を自由に張り替える事が

できるというものです。もちろん一定の条件はあるようですが今まで壁に穴をあけたり壁紙の取り替えが

禁止されていたりした状態と比べると入居者のニーズに合ったコンセプトになっています。

このDIY住宅のポイントとしてはまず契約から3か月間をDIYのプランニングや施工期間として無料としてい

る所です。部屋をどのように造作するかという事や壁紙を何色にするか熟慮する期間をあらかじめ設けてあ

るという事になります。もっともこの3か月間は賃貸借契約は締結せず「使用貸借契約」を締結する事に

なります。使用貸借契約というのは無料でモノを借りる事ができる契約です。そしてこの3か月間を経過

すると通常の賃貸借契約に移行する事になります。また短期違約金も発生する場合があり入居時から

1年3か月(使用貸借期間3か月+賃貸借契約期間1年)を経過する前に解約をした場合は無償で

利用した期間分(使用貸借期間分)の違約金が発生する事になっているようです。

また実際に借主さんが入居を開始する時の部屋の状態が「現状有姿」となっている事も特徴だと思います。

そもそも原状回復する理由は次の新しい入居者のために部屋を綺麗にしておく必要があるために原状回復

する訳で、次の入居者もDIYを施す予定であれば今までのような大幅な原状回復は必要ない訳です。

もちろんDIY住宅だからといってどのような造作が可能な訳ではないですし原状回復義務も発生する場合が

あり、入居をする前にも部屋の状態を確認する事は必要です。

今まで大家さんの許容限度範囲内で多少の造作を加える事は可能な場合もありましたし、今回のDIY住宅

にもある程度の制約は付きますが、それにしても注目を集めるサービス内容だとは思います。

今までの原状回復というと部屋を入居時のように綺麗に元通りにするというイメージが強かったですが、

部屋をある程度自分の好きなように模様替えしたり造作を加えたりする事が出来て退去時にはあくまで

最低限の原状回復を果たし、次の入居者がまた好きなようにDIYを施す、そんな自由な発想が許される

サービスが今後増えていくのを楽しみにしていきたい所ですね。

 

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